歯周病は歯を失う原因として最も多く、
日本の成人の約8割は歯周組織にトラブルを抱えています
歯周病とは細菌感染による歯とその周囲の組織(歯周組織)の慢性炎症性疾患をいい、歯肉炎と歯周炎とに分けられます。
歯肉炎は歯肉(歯ぐき)に赤みや腫れや出血がある状態です。一方、歯周炎は歯肉炎がさらに進行したもので、歯肉だけでなく歯を支える骨(歯槽骨)などの歯周組織が炎症によって破壊された状態となります。
歯周炎が進行していくと歯槽骨の破壊が進み、最終的には歯を支えることができなくなってしまい、歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病は初期の段階ではなかなか自分で気づくことができません。しかし、厚生労働省の調査によると、日本では成人の約80%が歯肉や歯周組織になんらかのトラブルを抱えているという結果が出ています(下図参照)。
歯を失う原因の約40%が歯周病といわれています。まず、自分が歯周病であるかどうかを知り、歯をできるだけ失わずに済むよう、しっかりとケアしていきましょう。
歯周病の原因であるプラークは細菌のかたまりです
歯周病を引き起こす直接的な原因はプラーク(歯垢)です。プラークとは食べ物の残りかすや細菌、細菌の出す産生物などがネバネバしたかたまりとなって歯の表面についたもので、いわば細菌の巣のようなものです。
プラークの中でむし歯原因菌が酸を作り出せばむし歯になりますが、歯周病の原因菌は毒素などを作り出して歯肉の炎症を引き起こしたり、歯槽骨を破壊したりします。
プラークはうがいをする程度では取れず、歯ブラシによるブラッシングで除去することが
必要です。
プラークは蓄積すると唾液中のカルシウムやリンと結合して歯石という硬い物質になります。歯石は表面がザラザラしていて凹凸があるためプラークが入り込みやすく、プラークが歯の表面に停滞し続けるのにとても都合の良い場となるため、歯周病を悪化させる因子となります。歯石は歯ブラシによるブラッシングでは除去できないため、定期的に歯科医院で除去する必要があります。
大切なのは、自分の歯周組織の状態を知ることです
まず歯周組織の状態を知るために検査をおこない、必要に応じてブラッシング指導や治療を進め、最終的には定期的なメインテナンスをおこなっていくというのが歯周病治療の流れとなります。
- 検査
- ブラッシング指導
- 歯石の除去
- 歯周外科処置
- メインテナンス
最初に歯肉や歯槽骨が現在どんな状態であるかを知るために検査を行います。この検査結果から治療計画を立てていきます。
歯周病治療においてもっとも重要なことは、プラークをしっかりと除去することです。自分に合ったブラッシング方法を習得し、おうちでのセルフケアもしっかりとおこないましょう。
歯石は歯周病の進行度によって、歯肉縁上(歯肉より上の部分)だけにつく場合と歯肉縁下(歯肉の下に隠れた部分)にもつく場合があります。まずはじめに歯肉縁上についている歯石を除去し、歯肉の状態がどの程度改善したかを再検査したのち、必要に応じて歯肉縁下の歯石を除去していきます。
重度の歯周炎でブラッシングと歯石除去のみでは改善が見られない場合、さらに精密な検査ののち歯周外科処置をおこなう場合があります。
歯石は一度落としても再び沈着していきます。また、歯ブラシによるブラッシングもお口の中に変化があれば方法を変えていく必要があります。定期的に歯周組織の状態、プラークや歯石のつき具合をチェックし、クリーニングをおこなって健康な状態を保つようにしましょう。